デジタル遺言とは?

1.遺言書の基本パターン
民法では、緊急時を除き次の3種類の遺言書が認められています。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
これらはいずれも 書面で作成することが前提 で、署名や押印が必要になります。
特に自筆証書遺言は、その名の通り「全文を自筆で書く」必要があり、自書していない場合は効力が認められません。
また、公正証書遺言も、公証役場に出向き、公証人からの読み聞かせを受けたうえで署名・実印の押印が求められるなど、作成者に一定の負担がありました。
2.デジタル遺言(デジタル公正証書遺言)とは?
近年のデジタル社会の進展を踏まえ、従来の紙による遺言作成に代わり、パソコン・スマートフォンなどのIT機器を用いて遺言を残す仕組みが整備されています。これがデジタル遺言です。
特に、公正証書遺言のデジタル化が 2025年10月1日からスタート し、以下のような新しい制度が利用可能となりました。
- 電子データでの遺言作成
- ウェブ会議を使ったリモート作成(公証人が相当と認める場合)
デジタル公正証書遺言作成の流れ(概要)
- 電子署名を付け、インターネット経由で公証役場へ申請
- 公証人がウェブ会議で本人確認や真意の確認を実施
- 公正証書を電子データとして作成・保存
- 書面で受け取るか、電子データで受け取るかを選択可能
なお、デジタル方式で作成した公正証書遺言の法的効力は従来のものと全く同じです。
3.デジタル遺言のメリット
従来の紙の遺言と比べ、手続きが簡素化される点が大きなメリットです。
- 実印・印鑑証明が不要
- 公証役場への来所が不要(リモート作成が可能)
→体の不自由な方でも負担が軽減 - 紙媒体での保管が不要
→紙が無くても、公証役場で遺言の存在を検索可能
4.実務上の課題
遺言書を作成する方の多くは高齢者であるため、
- IT機器の設定
- 操作方法
- 音声・画面の見え方
など、オンラインならではの課題が残ります。
また、2025年11月時点では、オンラインによる公正証書遺言の作成に対応している公証役場は一部に限られており、対面での公正証書遺言は今後もしばらくは主流であり続けると思われます。
公証役場で対面によりデジタル遺言を作成する場合は、公証人の用意するタブレット端末に電子ペンで署名します。
5.当事務所でお手伝いできること
当事務所では、デジタル公正証書遺言の作成に関して、以下のサポートが可能です。
- 遺言書原稿の作成
- 相続関係説明図の作成
- 財産目録の作成
- 公証役場との日程調整・やり取り
- 証人の手配
そのほか、
- 遺産分割協議書案の作成
- 遺言執行業務
などのフォローも可能です。
どのようなことでもこちらからお気軽にご相談ください。

